あとがき


 短かったような、長かったような……。
 今となっては、なぜこの物語を書こうと思ったのかは、はっきりしません。おそらく他の方々のサイドストーリーを読んで刺激されたのが始まりだと思うのですが……。大神の活躍を書きたいと思い、そのために必要な新型霊子甲冑「幻武」が登場し、そして空飛ぶ新型「光武」、新鋭艦「カスガ」と次々と新たな設定が生まれてきました。

 とにかく、第一話は「幻武」登場に全てを費やした感じです。当初、「幻武」の設定としては「飛行形態に変形できる霊子甲冑」とだけしか考えていませんでした。そしてなんとあの技師三人の会話を書きながら、「幻武」の動作原理を考えていきました。Y型機関からZ機関へ。そして霊子ジェット機関へと……。口八丁、手八丁のやり口で……(爆)。まるで私は話の中の永田技師……。
 そしてこのシーンから第一話の最後まで書ききったあと、前の部分を書き足してゆき、物語を後ろから前に書き進めるといった手順で、第一話を書き上げました。
 第二話は、第三話に至るための「つなぎ」の部分で、中だるみが目立ちました。ここで必要な部分は「叉丹の登場」だけだったのですから、入院前のあせりとあいまって、いささか筆が軽くなったものと思います。長さも第二話だけが、他の話の7割くらいの長さしかありません。
 第三話からは勢いが復活し、その長さにも関わらず、ほとんど躊躇なしで一気に書き上げることができました。ここで描きたかったのは「悲劇の霊子甲冑・天武」の最後と、もちろん「大神登場」です。入院中に細かな部分を練り直したので、密度が高いものになっていると思います。
 最終話も、第三話の勢いをそのままに一気に書き上げました。ここで書きたかったのは「サクラ大戦2」のオープニングばりの空中戦! あの衝撃のムービーを物語の中でやりたかった! ストーリーの都合上、大神機とアイゼンクライトのカタパルト発進は出来ませんでしたが、他の隊員たちの空中戦はムービーのシーンから拝借しました。
 そして、最後の決戦。賛否分かれるところですが、私としては再び大神があやめについて葛藤するシーンが書きたかった……。ここまでひたすら戦うマシーンと化していた大神が、殺女の登場で苦悩の中に突き落とされます。そしてゲーム1作目の繰り返しとなりますが、それを克服しての勝利。叉丹との最終決戦。機能停止寸前の「幻武」。花組全員の合体攻撃……。幻の霊子甲冑「幻武」の崩壊から勝利へ。そして大団円……。「おかえりなさい……」「ただいま……」。この台詞が書きたかった。そして一人一人に話しかける大神。笑顔で答える乙女たち……。
 物語としては、劇中で三日間程度の短い期間のお話。花組らしい普段の生活はほとんどなく、戦闘シーンばかりですが、OVA「桜華絢爛」を見てからの私の夢。「サクラ大戦の映画を見たい!」という夢を文章という形式で実現しました。
 そう、この物語は最初から映画的な展開と長さを意識して考えていました。静かに始まる冒頭。大神の危機。幻武発進。何度も訪れる花組のピンチ。これでもかというくらい現れる強大な敵。見ている人(読んでいる人)に安息の間を与えずに緊迫した展開を連続させるようにストーリーを組み上げました。
 OVA「桜華絢爛」が不満と言うのではないですが、やはり物足りない。大神と霊子甲冑が活躍する「サクラ大戦」が見たい! その夢と主張をこの作品に込めました。ラストの決戦は「檄!帝国華撃団(改)」を、大団円は「夢のつづき」を聞きながら読んでいただきたいと思います。
 書きたかったことはほとんど書ききった感じですが、ひとつだけ書き損ねて悔しいものがあります。それは「かばう」の描写です。ピンチになったさくらたちを大神をかばうことにより、さくらたちの信頼が上がってゆき、そしてラストの合体攻撃につながるというように持っていきたかったのですが、ストーリーのテンポの都合上、割愛しました。
 なお、最後のかえでのモノローグは私の勝手な解釈です。この数行は読み飛ばしても物語はエンドしますので、みなさんの好みで飛ばしてお読みください。

 さて、以下にこの物語の設定について述べたいと思います。霊子学理論については「サクラ大戦公式ガイド 戦闘編」(株式会社アスペクト)をおおいに参考にさせていただきました。


■霊子甲冑関係■

・幻武(げんぶ)
 正式には「辰型可変霊子甲冑兵器・幻武」。可変機構とZ機関を搭載し、甲冑形態では滞空、飛行形態では飛行することが出来る。武装は7ミリガトリング銃(霊子水晶弾頭)。物語中ではオプションとしてシルスウス鋼の太刀(通常のものより刃渡りが長い)を2本装備。

・噴式光武(ふんしきこうぶ)
 正式には「虎型霊子甲冑兵器・光武改二型噴式機関付(ふんしききかんふ)」。光武改に噴式機関(ロケットエンジン)を付けて滞空できるようにしたもの。

・Z機関(ぜっときかん)
 従来の霊子エンジン"  ̄ "と霊子ジェット機関" / "、霊子核機関" _ "と霊子ジェット機関" / "を切り換えて使用するシステム。Zの文字はその形状を意味するのではなく、併用・切り換えの組み合わせを意味している。

・霊子ジェット機関(りょうしじぇっときかん)
 霊子核機関の応用による空中推進用機関。集めた都市エネルギー(霊力)を噴出して推力とする。霊子を触媒として一緒に空気も噴出するので、ロケットではない。

・霊子エンジン(りょうしえんじん)
 オフィシャル設定では「霊子機関」。「霊子核機関」と区別がつきにくいので「霊子エンジン」と表記した。

・霊子バリア(りょうしばりあ)
 戦闘パートで言うところの耐久値の源。これがゼロになると機体に損傷が及び、破壊されるというのがオフィシャル設定。それを拡大解釈し、幻武では飛行時の空気抵抗を低減する効果があるとしている。さらに幻武はこのバリアごと体当たりすることで敵を粉砕することが出来る(乗り手の霊力にもよる)。

・霊子フィールド(りょうしふぃーるど)
 霊子によって生じる力場。反発力があり、霊子バリアと霊子ダンパーの原理となる。

・霊子ダンパー(りょうしだんぱー)
 霊子フィールドを利用し、その反発力でショックをやわらげるシステム。高所から落下したときの着地に使用する。

■その他メカ■

・空中母艦カスガ(くうちゅうぼかんかすが)
 帝国華撃団の新鋭空中艦。長時間におよぶ作戦時に、霊子甲冑の基地として使用できるように造られた。翔鯨丸ほど小回りは効かないが、支援力は圧倒的に高い。大きさは150m程度。浅草の翔鯨丸のさらに下に格納されている。
 上甲板に5機連続で射出できる蒸気式連射カタパルトを2基、下部甲板に単発で射出できる蒸気式カタパルトを1基持っている。下部のカタパルトは隊長用に使われる。
 武装は二十二サンチ八連装速射砲塔1基と多くの対空高角砲を装備している。

■人物■

・加山雄二(かやまゆうじ)
 帝国華撃団月組ヨーロッパ支部長。月組隊長・加山雄一の弟。兄と同様、その能力は高い。加山三兄弟の末弟、雄三は帝撃に入らず俳優になったという(爆)。

・森田技師(もりたぎし)
 神崎重工の技師。霊子甲冑第一号機「桜武」から開発に従事している。OVA「桜華絢爛」に登場。いささか調子乗りでおしゃべりなのが独自設定。

・金子技師(かねこぎし)
 同じく神崎重工の技師。冷静で少し無口なのが独自設定。

・永田技師(ながたぎし)
 同じく神崎重工の技師。技術者に似合わない風貌と自慢げで説明好きな性格、紅蘭が好きというのが独自設定。

■幻武必殺攻撃■
 幻武の必殺攻撃は、空中をイメージする言葉を使い、全てに「幻」の字を入れました。

・狼虎滅却転空幻刃(ろうこめっきゃくてんくうげんじん)
 跳躍して機体を回転させながら敵に接近し、二本の太刀を突きで打ちこむ技。

・狼虎滅却空幻切破(ろうこめっきゃくくうげんせっぱ)
 敵の目の前に飛行形態でいきなり現れ、変形後、そのまま居合抜きで切り払う技。

・狼虎滅却幻狼双牙(ろうこめっきゃくげんろうそうが)
 太刀を逆手に持ち、上から振り下ろして突き刺す技。その姿が牙をむき出した巨大な狼の幻に見えることからこの名がある。

■噴式光武必殺攻撃■
 噴式光武になったということで、空中用の必殺攻撃をつくりました。ロシア語が分からないのでマリアの技がありません。マリアファンの方、ごめんなさーい。

・破邪剣征桜花天爛(はじゃけんせいおうかてんらん)
 さくら必殺技。特に従来の技と変わりなし。

・神崎風塵流天女の舞(かんざきふうじんりゅうてんにょのまい)
 すみれ必殺技。天女が空中で舞うごとく優雅な技。羽衣のように霊力が広がる。

・六転百掌(りゅうてんすーしょう)
 カンナ必殺技。六は上下左右前後を意味する。つまり空中での全方位を身を回転させながら叩く技。

・イリス・シュプリーム・ジャンポール
 アイリス必殺技。幻武の耐久値を最大まで回復できる。

・噴式聖獣ロボ(ふんしきせいじゅうろぼ)
 紅蘭必殺技。聖獣ロボも空中で動けるように噴式機関を付けました。

・バルカローレ
 織姫必殺技。落下する敵をすくいあげるようにビームで叩く技。意味は「舟歌」。バタ臭くてすみません。

・デア・リング・デス・ニーベルンゲン
 レニ必殺技。ランスを回転させながら全方位の敵を叩く技。意味は「ニーベルングの指環」。そのまんまです。

■花組全員合体攻撃■
 合体攻撃の原理とアクションについては「サクラ大戦公式ガイド 戦闘編」を参考にしました。

・狼虎滅却八花天翔(ろうこめっきゃくはっかてんしょう)
 大神の握る刀に花組の八人がそれぞれの霊力を圧縮して固定する。そして敵にその刀を突き刺した後、大神の霊力を起爆剤として霊子核爆発を起こして敵を粉砕する。飛び散る霊力が八色の花を散らしたように見えることからこの名がある。


なお、この物語は以下の書籍を参考にさせていただきました。

「サクラ大戦公式ガイド 戦闘編」
「サクラ大戦公式ガイド 恋愛編」
「サクラ大戦2攻略ガイドブック 地の巻」
「サクラ大戦2攻略ガイドブック 天の巻」
      以上、(株)アスペクト
「サクラ大戦2花組入隊案内」
「サクラ大戦2原画&設定資料集」
「サクラ大戦−桜華絢爛− OVAファンブック上巻」
      以上、(株)セガ・エンタープライゼス
「サクラ大全−君、知りざりしことなかれ−」
      橘芝門、KKベストセラーズ

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